羽根 直樹 先生のアドバイス コーナー 36
- 2025.04.28
- 羽根直樹先生のアドバイスコーナー
こんにちは、羽根直樹です。
上野梨紗さんが、世界戦(センコーカップ)で優勝しました。
2連覇中の崔精九段を決勝で破り、愛咲美さんと姉妹で世界戦の優勝者となりました。
一力さんが応氏杯で優勝してからの良い流れが続いていますね。
今回の解説は、例会での会員同士の対局(互先)です。
<1>
白1に対して黒2と手抜きをしました。
実戦は白aと対応しましたが、白3から7などと続けて打ってしまうのがおススメです。
この形は白がアキ隅に先行した時の定石と同じです。
アキ隅に先行した方が少し有利になる形を定石と呼びますので、黒△とアキ隅に先行した黒は2と手抜きをしない方が良い形を得られます。
<2>
白1は「黒aとつないでもらいたい」という良いノゾキです。
素直に受けるのは少し不満と感じた黒が、黒2と仕掛けました。
黒2に対する白bは、シチョウアタリという意図ですね。
白3から5と直接動き出す手もありそうですが、実戦の進行も見応えのある攻防です。
<3>
黒△に対して、白1とはかっこいいですね。
黒△への利き筋を保留して、鮮やかな手筋です。
実戦は素直に黒aと対応しましたが、黒2と味良く取っておくのも好手です。
白3に黒4・6と手厚く打ち、bとcを見合いにするような進行が考えられます。
<4>
黒a・白bを決めてから黒1と進みましたが、単に黒1が良かったですね。
もしここで白bと打つようなことがあれば、黒cノビが絶好点となります。
bは白にとって打ちたい場所ですので、わざわざ打たせてあげることはありません。
<5>
白1に対して黒aと受けてしまいましたが、手抜きを考えたい局面でした。
他にも大きなところはたくさんありますので、「地が減るだけなら手抜き」という考え方になると良いですね。
黒2のホウリコミ(5のところ)から黒4と6を先手で利かし、黒8と攻める手などが有力です。
ただし白3が来たことで中央の黒はダメヅマリになりますので、注意も必要です。
<6>
黒1に手抜きをして白2子を取らせてしまいましたが、白2ツギは大きかったですね。
黒3から白6と進み、黒7と生きたあとで白8と手抜きをすることが出来ます。
黒7を省くと白aで眼が出来ません。
白2のツギは地だけのことでは無く、隅の黒への攻めになっていることが今回の判断基準となります。
<7>
実戦は白が自重しましたが、黒1に白2と反撃する図が難解です。
黒3・5から白8まで、攻め合いは白の勝ちです。
上手く捨て石になるかが勝負ですが、ぴったりと締め付ける手は見当たりません。
黒9・11と後手で封鎖を目指すくらいでは、白12で右辺の白は生きています。
「黒11でaならばどうか」など、読み切れるものではありませんね。
<8>
白1と補強をして、これからのヨセ勝負ですが、本局は白の時間切れ勝ちとなりました。
この後は、黒aやbなどで白を狙う展開が想定出来ますが、現時点ではかなりの好勝負です。
一局を通して、お互いに打ちたい手を打てている感じが良いですね。
もちろん失敗もありますが、とても雰囲気の出た手を打てていると思います。
手抜きのタイミングは毎回微妙な判断が必要となりますので、「地に関するだけなら手抜き」「石の強弱に関係していたら継続して打つ」という基本をもとに、徐々に調整していきましょう。
以上
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