羽根 直樹 先生のアドバイス コーナー 18

こんにちは。羽根直樹です。

まもなく入段5年目に入る彩夏が、勝ち星対象棋戦で30勝となり、二段に昇段することができました。
あと1勝となってからすぐに決めてくれました。
ここから40勝(同日さらに1勝したので、あと39勝)を積み重ねての三段を目指すことになります。
今回の解説は、例会での対局(2子局)です。

 

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黒1はとても良い手ですね。
白△が孤立していますので、この石の攻めから考えたい局面でした。
他には黒aなど、白△の攻め方はいろいろあります。

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黒1・3と、大きな場所へ先行することが出来ています。
左辺を黒aなどと打つのも立派な一手ですが、手抜きをする習慣が身についているのは大きな武器です。
白2でbの打ち込みが狙いにくくなったので、すぐに黒3と打ち込むのも良い考え方で、とても美しい流れです。

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白1や4のスベリなど、左辺に向かいたい局面でした。
双方の不安定な石を探した場合、「白△の石」と「左上の黒」となれば良い感覚です。
右辺の白やaの断点も気になりますが、左辺に比べると少し強そうですので、実戦の白bは少し落ち着き過ぎた感じです。
白1に対しては黒2の反発と、穏やかな黒3が考えられます。
黒2には白3と白4ハネがありますので、白9までは一例ですが、難解な競り合いが始まります。

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黒1と打ちたかったですね。
白2と打てば脱出はされてしまいますが、この形は黒3から5で満足だと覚えてしまいましょう。
白6に黒7と進出した流れは、「攻めが続く」「左上黒が強くなる」「白模様が消える」と、良いことばかりです。
白2ではaのハネ、黒5のツギと進んで小さく生きてもらうことになりそうです。
実戦は攻めているうちに自分の石が危険になる、という展開になってしまう危険があります。

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白1はとても良いバランスでした。
黒2から4と切断を狙ってきても、白5まで連絡することが出来ました。
右上と左上、どちらかに連絡する手を見合いにした考え方が見事でした。

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左上を双方が△と補強したタイミングでの手抜きが良い感じです。
そして不安定な石がなくなりましたので、ヨセに入った瞬間でもあります。
「ヨセは二線」ということで、白1と3が最大です。
黒の立場で言えば、「二ヶ所とも打たれるのは悔しい」となってほしいので、黒2で3と反発することを目指していきましょう。

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黒aからは打ち過ぎてしまいました。
実戦は黒の連絡に不安があります。

黒1から5と決めてから、左上に侵入していきましょう。

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黒1が最後の大きなヨセですね。
現在は5目ほど黒良しという状況で、最後は黒の中押勝ちとなりました。

「石の形」「手抜きのタイミング」とバランスの良さが双方に出ている好局でしたが、前半は黒、後半は白が良い流れでした。

前半の白は、2子局だからかもしれませんが、「黒地を減らしたい」という手、「白地を増やしたい」という手と、目的が単調になっている感じを受けました。

目的が二つ・三つあるような効率の良い手を目指すと隙が無くなります。

後半の黒は、少し先を急ぎ過ぎていましたので、弱点の確認をしながら手厚く打ち進めることが出来れば、一局を通しての安定感が増すと思います。

初段と三段という内容ではありませんので、すぐにでも昇段出来そうなお二人でした。

以上

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