羽根 直樹 先生のアドバイス コーナー 16

こんにちは。羽根直樹です。

2023年もよろしくお願いいたします。

対局で同じ局面は何度も出てきませんが、同じ考え方をする状況は幾度となく出てきますので、
上達につながるような考え方をお伝えしていきたいと思っております。

今回の解説は、例会での指導碁(4子局)です。

 

<1>

白1で白は生き形となりました。

ここで黒aの断点をどのように考えるかが重要です。

<2>

実戦は丁寧に守りました。

安全な打ち方ですが、白は生きていますので手抜きをされてしまいます。

ここは思い切って、黒1と大場に先行したい場面でした。

白2から4で分断されますが、黒5で隅は生きています。

白6に手抜きは白aで危険ですので、黒7・9と守っておきましょう。

2と5が見合いと考えることが重要な形でした。

<3>

白は1と打ててホッと一息という感じでしたが、黒2には感心しました。

黒の厚みがある下辺に、白を追い込もうという気持ちが伝わってくる一手です。

厚みを囲って地にするのでは無く、攻めに活用しようというとても良い考え方です。

<4>

白1は頑張り過ぎに見えるかもしれませんが、私としてはこの一手です。

上辺白2子はもちろん不安ですが、両側の黒との間に空間があるのが心強いと感じています。

左右どちらも2間ですので、aやbなどで眼形を確保するゆとりがあるのでは、という考え方です。

<5>

黒1と先手で守り、黒3に先行出来れば最強ですが、左上が心配なのも良く分かります。

白aなどに正しく対応出来れば大丈夫な形ですが、きわどい攻め合いになります。

心配な方は手入れ、大丈夫と感じた方は手抜き、と棋力によって対応が分かれて良い状況です。

<6>

黒1と先手で守り、黒3に先行出来れば最強ですが、左上が心配なのも良く分かります。

白aなどに正しく対応出来れば大丈夫な形ですが、きわどい攻め合いになります。

心配な方は手入れ、大丈夫と感じた方は手抜き、と棋力によって対応が分かれて良い状況です。

<7>

中央の黒地を囲うのでは無く、黒1と攻める考え方は悪くありません。

ただ、攻める時にはどのような得が見込めるかをイメージすることも大切です。

「カラミ攻め」「攻めながら黒地を増やす」「攻めながら白地を減らす」などが理想ですが、
黒1からの攻めではどれも難しく、全部を取ってしまうしか得をする手段がありません。

黒1は6のアテなどで攻めながら地を得した方が良かったですね。

白は4を先手で決めてから8でaを守り、上辺だけなら何とかなると主張してみました。

<8>

上辺の白はほぼ生きましたので、手抜きをしたのは良いタイミングでした。

「ヨセは二線」ですので、黒1はとても大きな一手です。

ただ地合で追いつかれてしまっていますので、黒が勝つのは難しい状況になっています。

本局は、右辺白△のワリウチから治まられてしまったことで地に甘くなってしまい、下辺の厚みがうまく働きませんでした。

手厚く本格的な棋風で、とても良い考え方で打ち進めることが出来ていますので、あとほんの少しのスピード感が出てくると良いですね。

守りのしっかりした形ばかりですと凝り形に近くなってしまいますので、少し弱点を残しても他がしっかりしているので大丈夫、というような判断で効率の良い形を目指して下さい。

以上

 

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