羽根 直樹 先生のアドバイス コーナー 28

こんにちは。羽根直樹です。

長男の和哉が、全国高等学校囲碁選抜大会で優勝することが出来ました。
自信をもって大会に臨めたことが、好結果につながったようです。

今回の解説は、例会での指導碁(6子局)です。

<1>

黒1に向かいましたので、白は2・4と仕掛けました。
黒5となった形は大きな弱点が残っていますので、黒の失敗です。
黒1では、2と守っておくのが良い判断でした。

<2>

実戦の打ち方は、「下辺から中央を大切にしよう」という意味になり、白への攻めを狙う手ではありません。
黒△があるこの局面では、黒1から3が良かったですね。
まだ白aの侵入は残っていますが、白4に黒5と攻めることで「簡単には侵入するチャンスを与えない」という打ち方です。

<3>

白△に黒1がまず浮かんだ方は、とても良い感覚が身についています。
周囲にいる黒石を活用して攻めるという選択となり、通常の状況であればこの手が正解になることがほとんどです。
ただし今回は上辺に白の壁があるので、白2と脱出された時の攻め方が難しく、黒3やaには白4でほぼ連絡と思ってください。
もし黒bから分断をしてダメヅマリを狙う、という発想が浮かんだ高段者の方がいれば脱帽ですが、通常は攻めきれるものではありません。
もしcに白石がある時にも黒bからの分断を狙ったとしたら、大失敗の結果が想像できます。
ということでこの場面での黒1は、「攻めるつもりが逃がしてしまう」という可能性のある手になります。

<4>

実戦は黒1から5と攻めましたが、上辺に向かって黒石を配置しても、今後活用する見込みがありません。
黒1から5は上辺で得をする時の打ち方ですので、白△という壁がある状況では良い攻め方とは言えませんでした。
攻めながらどのような得をしたいのかをイメージすることが大切です。
「他の弱い白石とのカラミ攻めにしたい」「将来性のある方向に黒石を配置して、今後起きる競り合いを有利にしたい」などを考えて攻める方向を決めます。

<5>

攻めながら得をするイメージが出来ない時は、攻めないという選択も有力です。
そのような時は、黒1などと大場に向かいましょう。
黒aでは白に連絡をされてしまうと感じて、黒bと一路寄せる工夫も良い感じです。

<6>

黒1の局面は、「攻めながら左上を地にする」という目的で打ちたかったですね。
白2に対しては、黒3から5という方向が良い考え方となります。
ただ白6などに弱点があり、黒を補強したい気持ちもわかります。
実戦は黒3で4と補強をしながら攻めましたので、白3と左上に侵入されてしまいました。
白2に対して打ちたい手が二つ出来てしまったとすれば、黒1で3などと攻めるのが良い方向だったことになります。

<7>

白1で、ほぼ生きたと言える形になりました。左辺は白aと打てば眼をつくることが出来ます。
このタイミングでの手抜きは見事でした。そして右上が最大という判断も良いのですが、実戦の黒bは安全に打ち過ぎました。取られている黒4子を活用したいので、黒2まで進みたかったですね。
のちに黒cというヨセも残ります。

<8>

現時点では10目ほど黒リードですが、かなり差が縮まっていますので最後は白の勝ちとなりました。
本局は、中央の白が左上に侵入しながら生きてしまいましたので、黒は攻めても得をしていない展開です。
白1のような石をどのように攻めるかが一番難しいのですが、考え方の順番としては、

1.黒の石に弱点がある場合は気を付ける
2.黒の厚みの方向に向かって追いかける
3.どのような得を目指すかをイメージする
4.イメージ出来ない時は保留して手抜きする

このようなことを考えながら、試行錯誤してください。

しっかりと急所へ打つ攻め方は出来ていますので(取ろうとして損になる攻め方はダメです)、石の方向を意識して攻めましょう。

以上

 

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