羽根 直樹 先生のアドバイス コーナー 37

こんにちは、羽根直樹です。
3月に羽根泰正九段が通算1300勝を達成しました。
囲碁史上7人目となります。

娘の彩夏は1月に100勝を達成、私は1100勝という段階で、まだまだ遠い大きな目標です。

今回の解説は、会員同士の例会での対局(先・コミなし)です。

<1>

実戦は黒aツメでしたが、落ち着いていますね。
白模様が気になる場合は、このタイミングで侵入する方がおススメです。
侵入する場所としては、「白の弱点を探してお互いに不安定な状況をつくる」という考え方が有力ですが、今回はまだ白に弱点がありません。
そのような時は「模様の中心」を荒らしたいので、黒1から9までのような進行が考えられます。

<2>

実戦の黒1は立派な荒らし方です。
白2には黒3で、白△を攻めるくらいのイメージです。
「白の弱点を探して模様に侵入」という基本的な考え方となります。
白2でaと打ったのも高度な作戦で、「黒を凝り形に導きながら白△の補強」という目的ですね。

<3>

黒1・白aという進行でしたが、白2と左下を大切にしたい局面でした。
黒△に手抜きをしたままですので、上から全て取り込むことが出来ればとても効率の良い白地となります。
黒としても△の石を活用する方法を探したい状況ですので、黒1でbや2なども有力です。

<4>

黒aと脱出を優先しましたが、黒1と踏み込むチャンスでした。
白2などと封鎖をされても、黒3と打てれば取られるような石ではありません。
「白の石を分断したので反撃も狙える」「空間が広い」などが判断材料となります。
黒△を十分に活用したい局面でした。

<5>

白1から3は、黒をダメヅマリに導こうという厳しい発想ですが、黒4に対してaの傷を守らなくてはいけません。
白1と打つまでは黒aを気にする必要がありませんでしたが、白1と打ったことで白の石が捨てにくくなりました。

<6>

例えば白1から5の時に黒6を狙ってきたとします。
黒8で白△を取ることは出来ますが、白9から13が強烈な狙いです。
黒はaと打てずに14と我慢するよりありませんが、まだ白15の狙いが残っています。
黒にとっては白△だけでは釣り合わないので、黒6を心配する必要はありませんでした。

<7>

黒1のサルスベリが、とても大きなヨセでした。
ここまで残っていたのが不思議なくらいの大きさで、どちらも早めに打ちたい場所でしたね。
右下白aとの兼ね合いもありますので複雑ですが、両先手の可能性もありますので、形勢に直結する違いとなります。

<8>

コミなしということもあり、微細ですが「わずかに黒良し」という状況で最終盤に入っています。
ただ最後は右下で事件が起こり、結果は白の勝ちとなりました。
下辺の黒aが大きすぎましたので、白は黒1のタイミングなどで手抜きをしたかったですね。
白2から6が狙いの筋で、黒は7・9と対応することになります。
白10の手筋もありますし、白11を先手にするだけでも大きなヨセです。
本格派の実力者同士の対決で、本局はお互いに安定感のある打ち回しでしたが、「黒△をめぐる考え方」が
重要なポイントでした。

以上

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