羽根 直樹 先生のアドバイス コーナー 38
- 2025.07.13
- 羽根直樹先生のアドバイスコーナー
こんにちは、羽根直樹です。
女子リーグが終了して、チーム囲碁・将棋チャンネルの優勝となりました。
チームセンコーグループとの決勝戦も大熱戦で、14歳の高山希々花初段が勝って優勝を決めるというドラマもありました。
第2回では、チーム名古屋の頑張りにも期待したいと思います。
今回の解説は、例会での指導碁(5子局)です。
![]()
<1>
![]()
白△に対し、実戦の打ち方は外回りの厚みで打つ作戦です。
黒模様をつくりたい時や、周囲の白を攻める時に有力な打ち方となります。
黒1から5と、「地と眼形」を確保する打ち方もありました。
黒の先手となる形ですので、黒7の打ち込みから17までの進行を目指すことが出来ると理想的です。
<2>
![]()
白1と左上を補強しましたが、黒2と打ち込まれて困りました。
周囲に黒石の多い状況ですので、白△を分断して攻める気持ちが大切です。
白の打った方向についていかず、とても良い決断でした。
白1はaの守りと迷いましたが、今度は左上を打ち込まれてしまうのでしょうね。
どちらを守っても、「相手の打った方が良い手に思えてしまう」というよくある状況です。
<3>
![]()
白1に黒2は良い判断でしたが、黒4が分断する好手でした。
白5と黒6が見合いになっており、「白5には黒6」「白6には黒5」で分断することが出来ます。
黒△に石があることが条件ですが、複雑な変化はありませんので覚えてしまえばすぐに使える打ち方です。
<4>
![]()
白1と打ち込んでみましたが、黒地を減らすだけでは大きな手とは言えません。
白1には黒を攻める気持ちを込めたつもりですが、黒aと受けなかったのは良い判断でしたね。
白の方が弱い石だと主張したい場面です。
黒2から6の反発は見事でした。
<5>
![]()
黒1に受けることが出来ず、白2と連絡を優先しました。
ここで黒aと戻りましたが、急に弱気になってしまった感じですね。
黒3から7と進出していれば、白にとって苦しい流れとなっていました。
白6の形が崩れていますし、このあと黒bの切断を防ぐ必要があります。
<6>
![]()
中央方面に力をためる打ち方をしましたが、競り合いが終わりかかっている中盤から終盤にかけては、やはり「地」が大切になってきます。
黒1から5と辺の地を大切にして、白6の守りには黒7と「地と眼形」を確保したい局面でした。
白8は好点ですが、黒9と守ればさらに地で得をすることが出来ます。
この時に白2から8の厚みが、どのような役に立つのかをイメージすることが重要です。
「黒△の切断だけを注意すれば、白の厚みが働く場所がない」という状況判断が出来れば最高です。
<7>
![]()
黒1には白2を先手で決めて、白4と大場に先行してしまいました。
黒aが利きますので、白bと進出することは出来ません。
では中央に出来た黒地が大きいかというと、そうではないのです。
「中央に向かう・厚みをつくる」という手は、「今後の競り合いに備える」という意味で価値が高いので、序盤から中盤にかけての考え方です。
全ての石が安定した本局のような状況は、終盤・ヨセという段階ですので、「双方の地に関係する場所」つまり三線や二線が大きくなります。
<8>
![]()
黒1は、白aとの差でとても大きなヨセです。
まだ黒がリードしていますが、10目以内になっていますので勝ち切るのは難しい差と言えますね。
本局は、打ち込みなど石の強弱を意識して打てているのが良い感じでした。
とくに上辺白△への攻め方には迫力があって、とても力強い打ち方です。
それだけに途中で不安になってしまう感じが、もったいない気がします。
部分的な知識は少しずつ追加していくことになりますが、自信を持って打つことが出来れば大きく変わると思い
ます。
そして、不安定な石が無くなったらヨセですので、「地」に意識を変えるタイミングを探っていきましょう。
以上
詳細解説版動画:
→詳細解説版(約2倍の解説量)のダウンロードはこちら
アドバイス38棋譜詳細解説
- 前の記事
羽根 直樹 先生のアドバイス コーナー 37 2025.06.14
- 次の記事
51回例会結果 2025.08.14