羽根 直樹 先生のアドバイス コーナー 45

羽根 直樹 先生のアドバイス コーナー 45
こんにちは、羽根直樹です。

「翔の会」会長、星野幸彦様がお亡くなりになりました。

本因坊戦の就位式を機に「翔の会」を立ち上げてくださり、現在まで私と皆様をつなぐ懸け橋となってくださいました。

ご自身が囲碁を存分に楽しみ、そして周りにも輪も広げる活動に力を尽くしていただきました。

ご冥福をお祈り申し上げます。

今回は、星野会長の例会での対局(白・コミなし)を振り返りたいと思います。

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星野会長は、「楽しく碁を打つ」という事を実践されていました。
白2・4などの布石を好み、前例のない局面での創意工夫を楽しんでいた感じです。
「創意工夫」は急には出来ませんので、土台となる基礎をしっかりと身に付けたのちに、そのような心境になったのかと思います。

<2>

白1から3が、AIの登場以降で打たれている形です。
白1は筋の良い手に見えませんので盲点でしたが、黒2があることでaの切りを打ちにくくしています。
黒4から白13は一例で、難解な競り合いが続きます。

<3>

黒aの切りが打ちやすい状況ですので、白△に対して黒1という強手があったかもしれません。
「aとbが見合い」という考え方ですが、攻め合いがとても複雑です。
実戦は黒が穏やかな進行を選びました。

<4>

黒1に対して、白2から8はとても雰囲気の出た打ち方です。
白8はとても好きな一手だと思いますので、「自信あり」と微笑む姿が目に浮かびます。

左上の白はまだ安定していませんので、堅実な打ち方を好む方は、白aと進出するのも立派な一手です。

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黒は左上との連絡を目指しましたが、少しつらい感じです。
黒1から3などと中央へ進出したかったですね。
黒としても、補強と同時に反撃も考えたい局面でした。
白2でaと封鎖を目指すのは、黒bなどから切断されて無理となります。

<6>

白aは正直に対応し過ぎましたね。

白1から黒6などと決めれば、aの白石が5の場所に来たことになります。

白の手厚さが大きく違っていました。

おそらく「低位で連絡してもらえるなら満足」と判断をして、気分良く決めてしまったと思われます。

<7>

黒1に対し、白2が気分の出た一手でした。

黒への攻めと、aの断点の補強を兼ねています。

<8>

黒△を「捨てるイメージの黒」と、「取りたい白」という実戦の流れになりました。
白への反撃を狙えると感じれば黒△を助けておきたいので、黒1も有力な対応でした。
素朴過ぎて打ちにくい手ですが、連絡を確実にして黒aを狙います。
a以外に黒bやcの方向にも進出できますので、取られてしまう心配は無さそうです。
白としては周囲に不安要素がありますので、取りにいくのは良い判断でした。

<9>

黒1・白2とお互いに補強をしてから黒3の手抜きまで、とても良い流れです。
白2で手抜きも考えたいところですが、黒aの逃げ出しが難解です。
好きな「攻め」の展開を目指すためにも、白2は手厚い打ち方で力をためている感じです。

<10>

白1に黒2・4と打つのは、白5を先手で利かされてしまいます。
白7となった形は黒aの切りが成立せず、白の理想的な形です。
黒2で4のツケから打った実戦の手順が、黒の上手い対応でした。

<11>

黒1には白2・4と、白△を捨てる相場です。
黒5に対して白6から10なら穏やかな進行ですが、実戦は白aと力強く仕掛けました。

少し打ち過ぎの可能性はありますが、「打ちたい手」と感じたら躊躇しない思い切りの良さが持ち味でした。

<12>

白1には黒2・4と反撃をして、競り合いが始まりました。
白5・7と形を整えた時に隅から攻めましたが、黒8と封鎖をするのも有力です。
白9には黒10やaと追及をして、白はbやcを利かしながら生きる展開です。
<13>

黒1と連絡をしておけば穏やかな展開で、白2・4と生きることになります。
お互いに補強をした時が手抜きのタイミングとなりますので、黒5が大きな一手です。
黒aと地の中に手入れをしなくて良くなります。

<14>

白1から3が厳しい反撃です。
白は生きを確保しながら、黒の分断に成功しました。
黒△は急所の一手でしたが、連絡を優先した方が手厚い状況でした。

<15>

白1は眼形の急所で、打っておきたい一手です。
続けて白aと仕掛けましたが、左下の黒も狙ってみたい状況でした。
白3から5で、黒の形はダメヅマリとなります。
黒△を助けていると全体が危ないので、黒6・白7となりそうです。

<16>

黒1から3が、読みの入った好判断でした。
黒3と受けて中央の黒が大丈夫であれば、左下のダメヅマリを解消しながら最高のシノギとなります。
白4と眼形の急所に迫りたいのですが、黒5・7の反撃で白が分断されてしまいます。
攻め合いになれば、「中央の黒には一眼がある」「セキでも黒満足」という、黒に都合の良い状況です。
白も察知をして、白4とは打てなかった感じです。

<17>

黒1から5まで、見事なシノギでした。

そして白は6と連絡する必要があり、aの弱点も残っています。

<18>

(黒1の上に白石有り)
黒1は気分の良い利かしですが、黒3は手拍子だったかもしれません。
白4から6が狙いを秘めた対応で、黒はダメヅマリになっています。
白aで黒4子を取る手が残ってしまいました。

<19>

黒1から3が手筋で、白△を取ることが出来る形です。

白4から8と上辺の黒を狙い、黒9と補強する展開となりました。

お互いにとても良い打ち方です。

<20>

(黒4の下に白石三つ有り)
白1や3を先手で利かす事ができるのは、大きな利益です。
黒2や4と地の中に手入れをしてもらうことで、取られた石を立派に活用できます。
細かいことですが、黒2や4はa・bの方が、「地」や「利き筋」の関係で少し得でした。
ここで白5と攻めに転じる厳しさは、星野会長の力強さが存分に出ています。

<21>

黒1が、補強と白への狙いを秘めた好手です。

黒を分断する白2に対し、黒3の反撃となりました。

<22>

黒13まで、見事な攻防でした。

黒1や5と反撃する感じや白の対応など、見応え十分です。

<23>

黒1と進出して、これからの碁という流れです。
この碁の内容を見ても、星野会長が「打ちたい手」を楽しく打っている感じが良く伝わってきます。
「攻め」や「戦い」の展開になることが多く、常に狙いを持っている力強さがありました。

時には勢い余って打ち過ぎることもありますが、笑い飛ばしてしまうような懐の広さが魅力的でした。

星野幸彦会長、長い間ありがとうございました。

以上

 

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アドバイス45 譜詳細解説