羽根 直樹 先生のアドバイス コーナー 13

こんにちは。羽根直樹です。

8月は台風の接近する中で例会が行われましたが、ご参加いただいた皆様ありがとうございました。

今回は交通手段が心配で休むという決断をされた方にも、次の機会にお会いできるのを楽しみにしております。

今回の解説は、例会で打たれた三子局を取り上げてみたいと思います。

<1>

黒1は隅の黒を安定させようという手ですので、黒3とセットで打つと良いですね。

その後は黒△の補強と攻めを兼ねて、黒5が好点です。

辺に打つ場合、序盤で二線に向かうのは良くないので、中央へ向かいましょう。

三線は立派な手が多いので、黒aのツメもあります。

隅に関しては、眼や地の関係で二線が大きい時も多いので、定石などの知識を活用しながら二線に打っても大丈夫です。

<2>

黒1から3で黒地にしたい気持ちは良く分かりますが、実は弱点の残っている形です。

白6・8でaとbが見合いとなり、困る形でした。白6ではcの三々もあります。

黒1では、へこんでいるようでも黒cが相場ということになります。

<3>

黒1はとても良い手でした。

「不安定な石から中央へ進出する」ということに価値があります。

そのままの流れで、黒3・5とどんどん進出しておく手が浮かぶと、安定した打ち方になります。

実戦の黒aは補強というより攻めるための進出、もしくは黒1と連絡したい、ということになりますが、上辺の白は比較的強い石ですのでどちらも少し無理な感じです。bのサガリに黒石があるようなイメージで打たれたのかもしれませんね。

<4>

白1から黒8まで、下辺へ連絡したい黒と、阻止したい白との良い攻防でした。

ここで実戦は白aでしたが、9のカタツキが絶好の一手でした。

右辺の白も強い石とは言えませんので、自分の連絡も兼ねています。

<5>

黒1は好点です。

中央と下辺の連絡を目指しながら、白を狙っています。

実戦で白はaとツケましたが、可能であれば白2と助けたい形です。

もし中央の白を助ける事が出来れば、ケイマが多い黒の形の切断を狙えます。

ただ、黒3から5(もしくはa)で連絡出来ないかもしれませんので、少し自重した感じですね。

<6>

白は自分の連絡のために△と打ちましたが、同時に左上の黒を狙っています。

黒としては、中央をとっさに受けてしまったのは問題でした。

黒1と左辺に侵入しながら、黒石の補強をするのが良い判断です。

中央は白2に黒3と受ければ、少し黒地が減るぐらいのことですので、一番大事な石を見極めることが大切です。

<7>

白1が急所の一手です。

この手によって、黒の眼をつくるスペースが急になくなりましたね。

お互いにチャンスを見つけて打ちたい場所でした。

<8>

黒に2眼が出来ませんので、白の勝ちとなりました

黒1から7と白のダメヅマリを狙うのも、白8から10で何もありません。

黒は危険を感じてどこかで守っておくことが大切でした。

大切な石の見極めと、その石の強弱の判断に慣れていきましょう。

上辺を生きてさえおけば黒地が多く、白が3子の差を追いつくのは大変だったかと思います。

白はゆったりと形良く打ち進めており、3子局のお手本のような打ち方です。

ただ、攻める時に少し遠回りをしている感じですので、碁に関してだけは「相手を困らすように」という意地の悪さが出てくると良いですね。

以上

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アドバイス13棋譜解説