羽根 直樹 先生のアドバイス コーナー 41

こんにちは、羽根直樹です。

秋のタイトル戦は、名人戦(一力対芝野、一力防衛)、天元戦(一力対志田、一力防衛)、王座戦(井山対一力、一力奪取)という結果になり、一力5冠(棋聖・名人・王座・天元・本因坊)が誕生しました。
3強から抜け出して、1強時代を築きつつあります。

来年は棋聖戦(一力対芝野、第1局ハワイ対局)からスタートしますが、どのような年になるのでしょうか。

今回の解説は、泰正会との交流戦での一局(互先)です。

<1>

白1に黒2のツケは基本形ですので、まず覚えておいてほしい形です。
白3に黒4と切ることが重要で、ここを白につがれると黒△が痛み、黒の失敗となります。
白5を怖がる必要は無く、黒8までと対応して黒にとっては十分です。
白aから隅を取られてしまいますが、「強力な黒の厚み」が上回りますので、黒bなどの大場に先行しましょう。
黒4に対して白は実戦のようにツケるのが良い対応です。

<2>

黒1は、白aのオサエを防いだ立派な一手です。
白2も雰囲気の出た一手ですが、ここで黒は手抜きをしたかったですね。
黒3などと侵入していきたい場面でした。
つい流れで黒bと打ってしまった感じですが、この場所には白から打たれても困る手がありません。
「相手の打ちたい手の邪魔をする」という手が好手の場合が多いので、相手が打ちそうもない場所は手抜きから考えましょう。

<3>

白1は自分のダメを詰めてしまうので打たない方が良かったですが、白3と待ち伏せをしてから白5が良い感じでした。
白5での包囲網は二間が多く少し薄いので、aの一間も有力です。
白△ノゾキと白a一間トビをセットで打つことは多く、「ノゾいて反対側を一間」というリズムで覚えておきたい流れです。
黒にとってはどのようにしのぐのか、難しい局面を迎えました。

<4>

黒1から5と反撃したのは、とても良い考え方です。
相手の弱点を探しながらシノぐことが出来れば、理想的なシノギとなります。
白6に対して実戦は黒aでしたが、黒7と切ってしまいたかったですね。
白8から10と妥協するぐらいか、白8でbと抵抗出来るのか、白にとっても悩ましい状況でした。

<5>

白aと大場に向かいましたが、白1と追及する手も有力でした。
白1は黒bから眼をつくる手を防ぐ意味ですが、黒2と受けるのは白3で危険です。
黒2で3と打てば全体を取られることは無さそうですので、黒△が種石(白を切断している重要な石)かどうかの判断ですね。
見た目は種石と感じますが、全ての白石が強い状況ならそれほどの価値ではないかもしれません。
先ほど黒が取った左辺の白2子とは、全く価値の違う2子だと感じてもらえれば十分です。
<6>

黒1は補強を兼ねての反撃で、打ってみたくなりますね。
ここで白aと反発しましたが、白2から4も冷静でした。
bとcを見合いにして、白△の4子を捨てて下辺で得をしようという発想です。
「手抜きをした後の競り合いは少し妥協する」という考え方は良く使いますので、今回もそのようなイメージです。

<7>

白1は立派な手ですが、黒aはついて行ってしまった感じです。
黒2と取ってしまいたかったですね。
黒2は15目ほどの手ですが、同じくらいの手は他にもあります。

<8>

大きなヨセもaを残すだけという状況ですが、この対局は白の10目半勝ちとなりました。
前半は白の攻める流れが良く、左下で成果をあげた黒が盛り返す、という一局で、センスの良い競り合いに見応えがありました。
中央の白を取ったあたりでは「盤面で少し白良し」というくらいの差かと思いますが、右下の黒△で差が開きました。
ヨセではお互いの地の接点を打つことが大きく勝負に影響しますので、やはり「二線」に意識を向けることが大切です。
「読みも入った筋の良い攻め」が見事な白でしたが、「左下をどのタイミングで妥協するか」が難しかったですね。
以上


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